「今お電話大丈夫でしょうか」
「今暇~?」
こんなことを聞かれた経験が誰しも一度はあるはずだ。
だがそこで俺には早速問題が発生する。まだ「はい、もしもし」しか口に出していないのにだ。
『・・・俺は今暇なのか?』
先刻、小学校時代からの親友であるマチャヒコから電話があったときもそうだった。
そのとき俺は龍の鱗を塗っていた。つまり絵を描いていたわけである。
この状況はおそらく一般的に見て少なくとも ”今” 暇ではないはずだ。
だがどうだろう。一度筆を置けば。入稿の期日まではまだ余裕がある。それにだ、これはクソウザいファッキン・セールス・ババァからの電話ではない。マチャヒコからの電話だ。ひょっとしたら深刻な相談かもしれない。
俺は筆を置いて会話を始めた(いやまぁ電話に出た時点で筆は置いてるわけですがね…)。
結局終えてみれば「今何してるの?」から始まるいつものフリートークだった。よかったよかった。
バトルシップ面白いといいな。
だがこれがもし俺が会社で働いていて数人の同僚が目の前にいる状況だとしたら?
同僚たちの目に映る俺の顔にはファッキン・クレイジー・ボーイの文字が、それこそ一生消えない入れ墨の如く刻まれたことだろう。
はて、場所は違えどやってることの責任感は同じ”仕事” だ。むしろ胸を張って俺のが強いと言いたいところである。
ではつまり先程の俺の選択は間違えだった、そういうことだろうか。「今鱗を塗ってて忙しい。」とそう伝えて電話を切ればよかったのだろうか。そんなことを考えているうち、また新たに問題が浮かんできた。
『・・・俺はいつ暇なのか?』
今鱗を塗っている状態が暇じゃないとするとどうだろう。
少し技術的な話になるが、鱗を塗り終えたら次は顔や腹板,炎などに水筆,色筆,ぼかし筆を使ってグラデーションを掛けていく作業が待っている。場所にもよるが3秒ズレればたちまち失敗する非常に集中力と緊張感を要する作業だ。
その他にも目を入れるとき,清書で線を引くとき,鉛筆ナメナメ構図を考えてるとき,etc…
一つ思い出したがこの前コンビニにレッドブルを買いに行ったときのことだ、気付くと桜の木の前で花びらを観察してたんだ。
ソメイヨシノの花は中心に行くほどピンク色が濃くなってる花と、そもそも花びらがピンク色ではなく白色で中心に行くほど黄色味が強くなるものの2種類からなっている!これは龍や般若に桜を合わせるときに使えるぞ(・∀・)ニヤニヤ ←当時の俺(バクマン。風で)
こんなことがあったんだよキャサリン┐(´∀`)┌
要は何が言いたいかというと暇ってどこにあんの?って話である。絵を描いてないときは来たる創作団体旗揚げの日のために基本Webデザイン・コーディングの勉強をしてる。寝る前と描き始める前に頭を空っぽにする癖は付けているものの、映像見れば構図やカット割が気になるしチラシを見ればぱっと見の印象はもちろんmarginやパス抜きの粗に目が行く。
結局のところ答えはまだ出ていない。そんなものもう待っててもやってこないんだろう。と漠然と思ってはいるものの、その暇ってやつを別に待ち望んでるわけでもない以上、恒久的にこの認識が変化することはないのだと思うが、強いて言うなら 今って暇じゃね?
落ちたか?
芸術従事者にとって暇とはなんだろう。
2012年4月17日 20時39分 | Others
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